08米粉の種類と特性米粉の利用

米粉の種類と主な製品

米粉には、うるち米ともち米を原料にしたものがあります(図表1)。製粉過程において米をそのまま製粉するベーター型(生米なまごめ製品)と加熱処理をしたアルファー化型(糊化こか製品)があります。うるち米を原料にしたものでよく知られているものが、上新粉。これは、団子、柏餅や和菓子、せんべい等の米菓に使われています。
もち米を原料としたものとして、白玉粉(水挽式製粉)は、大福もち、求肥ぎゅうひ、白玉だんごの原料となっています。もち米のアルファー化型(糊化製品)の道明寺粉(蒸して乾燥させてから粗く挽き、顆粒粉末にしたもの)はさくら餅やおはぎの原料となっています。このように、米粉といっても原料米の種類や製粉方法などにより、さまざまな用途に使われています。
また、従来の米粉以外に、新しい用途に用いられる米粉用は、米粉パン、洋菓子、米粉麺、お好み焼き、ホワイトソースなどの用途に向く微細粒粉が使われています。

図表1 米粉の種類と主な用途

米粉の種類と主な用途
資料:komeko50研究会

米粉の利用範囲

小麦粉で作るたこ焼き、お好み焼、天ぷら、ケーキ類、クッキー類などは、米粉を原料としてもまったく遜色なくできます。小麦粉製品のほとんどを米粉で代替が可能といえます。一方、商品加工では、米粉の特徴を活かし、商品や商品情報の伝達等で商品の訴求力を高めることが重要です。
それには、米粉の特性と二次加工適性への影響を理解することが必要です。
米粉の製粉時に生じる粉体特性として、1)粒度、2)粉砕時に生ずるでんぷん損傷度、3)米成分のアミロース含有量等で、商品製造における二次加工適性への影響が表れます。また、製粉加工により、大きくベーター型の製品とアルファー化型の製品に分かれます。米の成分では、うるち米ともち米でも使い道が変わってきます。
今後は、玄米をそのまま粉砕した玄米粉や色素米、高アミロース米を原料とした商品が機能性等から期待されます。

米粉と米粉製品の相性(加工適性)

小麦粉を原料としている商品には、パン、ケーキ、ホワイトソース、パスタ、うどん、天ぷら、お好み焼き、数えればきりがありません。これらは米粉ですべて調理が可能です。米粉の調理加工においては、米粉特性と米粉商品の相性があります(図表2)。

図表2 米粉特性と米粉商品の相性

米粉特性と米粉商品の相性
資料:komeko50研究会

(1)米粉パン、ピザ等に向く米粉

主に以下の点が重要な要素となります。

  • 中心粒度が40~60㎛に粉砕されていること
  • 製粉工程でダメージを受けない粉として、でんぷん損傷度が低いこと(5%程度以下が好ましい)
  • 中アミロース米で、米粉製品の米粉水分は常時一定水分値に仕上げる

(2)洋菓子(ケーキ、クッキー)や調理用(ホワイトソース、揚げ衣)に向く米粉

食品に滑らかさが要求されるので、粉の粒度は微細粒粉が良いでしょう。

  • 小麦粉の用途と同様な食品に使用ができる
  • 米粉のみでグルテンは加えない
  • でんぷん損傷度の高い米粉、低い米粉の使い方は、加工する商品の食感、形状の求め方により選択することが必要となる
  • でんぷん損傷度が抑えられた米粉では、膨らみ(比容積)が増す
  • 微細粒粉が向いていて、粗いと舌触りが悪く滑らかさがない

(3)だんご、柏餅等に向く米粉

  • 製粉ダメージの影響は小さい
  • 多少粗くても良い
  • 微細粒粉ではべたつきやすくかたい食感になる

(4)麵、パスタに向く米粉

  • 高アミロース米を使用することで、茹でのびしない麺加工が可能
  • 中~微細粒粉
  • 製麺方法にもよるが、でんぷん損傷度の少ない米粉が好ましい

米粉食品と吸水量、アミロース含有量で影響する関係

それぞれの米粉食品の加工適性は、アミロース含有量と吸水量の違いに影響を受けます。麺、パスタでは、吸水量が少なく、アミロース含有量が多い米粉が向きます。
ケーキでは、アミロース含有量の違いにより、膨らみ(比容積)、形状や食感などの変化が現れます。
型崩れしない形状、サクサク感を求める場合では、アミロース含有量が高いと有利です。逆にしっとり感を求める場合では、アミロース含有量が低いと有利であるなど、ケーキ類では米粉の成分特性、製粉特性の違いを活かすことで、目的とする特徴を出した商品加工が可能です。
だんご、柏もちでは、吸水量が多く、アミロース含有量が低い米粉が加工に有利です。

グルテンフリー食材の米粉は世界で注目されている

米粉は、近年グルテンフリー素材として世界中で注目を集めるようになっています。日本においてもグルテンフリー食品が求められるようになって、健康志向の高まりからグルテンフリーが健康に良いとする消費者からの需要が急増しています。
海外においても米粉を求める理由として、セリアック病等の患者用以外にグルテンフリーだから、健康食品、低カロリーなどの理由が高い傾向となっています(図表3)。

図表3 米粉の調理における特性

米粉の調理における特性
Komeko50研究会 代表 萩田 敏